ますみのど直球人生(仮)

見たものや聞いたもの、考えたことを書いていきます。

セカンドキャリアへの旅路(24)予期せぬ電話

前回まで

既存の組織でNVCとコネクション・プラクティスを実践する、という前例を聞いたことがなかった。これでよいのかさっぱりわからないまま手探りで1年ほど試行錯誤を繰り返していたんだ。

 

突然の電話

そんなある日、営業とディレクションを担当しているビジネスパートナーのTさんから、

「ますみちゃーん、俺、入院することになっちゃったー」

と、電話が入り、びっくりした😳聞くと、黄疸が出て、2週間ほど、検査入院することになっていた。人間、体と心は何より大事❗️営業のことはなんとかしよう❗️と決めて、仕事の段取りを変更。社内の体制もそれに合わせて変更した。

Tさんは、僕が前に勤めていた会社の社長の友人。社長が精神と体を壊して連絡がつかなくなった時、一緒に社長を探してくれた人だった。僕が会社を設立した後も、デザイナーを紹介してくれたり、仕事を持ってきてくれたりと、とても良くしてくれた人だ。同じお寺で修行した仲間でもあり、世の中を平和にしていきたいよねぇ、と語り合ってもいた。とは言え、僕とはビジネスの考え方が合わないところもあった。12時間以上、夜を徹して討論したり、ときに感情的になって怒鳴り合うこともあって、必ずしも居心地の良い相手ではなかったけれども、一緒にいてエネルギーを貰えるような人でもあり、尊敬もしていた。

そのTさんが入院とは…。心の中は穏やかではなかったけれども、きっと元気になるだろう、と気楽に構えていた。

 

そして、僕が非暴力コミュニケーションの国際集中合宿(IIT)に参加するため、ロサンゼルスに旅立つ日。Tさんから、電話が入った。

Tさん「ますみちゃーん、俺、末期がんだったよ」

と、電話口でTさんの声が聞こえる。全く思いがけないことで、自分の体がこわばるのがわかる。僕が慌てふためいてもTさんの役には立たないな、と思い直して、深呼吸しながら、ゆっくりと自分をいつもの状態に戻す。どんな状態なのか、Tさんが何を感じているのか、ひとつひとつ聞いていった。

Tさんは、本当に残念で、無念そうに、どうして良いのかわからないこと、もう仕事が一緒にできないこと、生きていく気力がないことを語ってくれた。僕は、そのひとつひとつの感情が訴える、本当はTさんが望んでいること、生命が訴える声に耳を傾けながら、出来る限り丁寧に受けとり、そして、Tさんに伝え返した。15分ばかりの時間だったけど、そのやり取りから、Tさんがちょっとずつ、生きようとしてくれたことが嬉しかった。自分自身の生命の声を聞く体験を、もっと彼にもして欲しい。そのためにも、このIITでしっかり学んでこよう。そう思えたんだ。

 

仕事の意味

一方で、会社としては、営業とディレクションを兼ねていた方がいなくなる。他に営業はいないし、ディレクションする人もいない。社内に残る人は、営業経験がなかった。それどころか、初対面の人と接すると死にそうになるほどストレスを受けることがわかっていて、営業に転向してもらう、という選択肢はなかった。Tさんが担当していた事業は、十分収益が上がっている事業ではなかったので、これを機に閉じてしまう、ということも現実的な選択肢としてあった。

ただ、そう考えると、これまでのTさんの頑張りは何だったのか…彼は、彼の仕事に、十分納得しているんだろうか…と、切なくもなる。せめて、これからの人生を出来る限り、彼にとって有意義なものにして欲しい。そして、僕も、僕の大切な人たちも、その人にとっての有意義な人生を、出来る限り歩んで欲しい。自分の生命を生ききって欲しい。そのために、僕にできることならなんでもやろう。

そう思えたとき、体中が熱くなり、やる気に溢れてきた。僕がIITで学ぶ明確な理由が、もう一つ増えた❗️

 

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新たな学ぶ理由と覚悟を胸に、僕は、ロサンゼルスへと旅立った。そこで僕は、人生史上最大の自己統合を果たすことになったんだ。

 

次号へ続く。