セカンドキャリアへの旅路(19)母とのつながり
ラスール認定試験、開始
大阪での合宿から1日だけ休み、試験が始まった。
二人一組になり、相手が今思い出しても心がざわざわするような出来事について、これまで学んできたスキルを使ってプロセスする。
しかし、この母との件で辛さと苦しさが胸につかえて、試験に全く集中できない。相手が辛いと感じているエピソードを聞いても、僕の心は全く動かない。それどころか、イライラや焦りが募る。
「その程度で辛いとか、わかんないなぁ」
「僕のほうがよっぽど辛いわぁ」
そんな考えが次々に浮かび、相手の話にどうしても集中できない。これまで学んできたはずのスキルが全く使えないのだ。試験ということもあり、早く立て直したい焦りとイライラも混ざって、心の余裕を持てないでいた。
そんな状態で、「つながりの道」の順番が回ってきた。
「もう限界だ」😫😫
そう感じた僕は、試験にも関わらず、「つながりの道」で産みの母との件を扱うことを試験管にお願いをして、了承を得た。この気持ちをプロセスして、消化したかった。今、この場で乗り越えることが必要だと、強く感じていたんだ。
母とのつながりの道、自分への共感
「つながりの道」は、極めて困難な対立やジレンマを解消するためのワークだ。対立する相手がもう亡くなっていたり、1度も会ったことがない人でも、相手がひとりに特定できれば、有効に機能する。母は、16歳で僕を産んだ、と聞いている。会ったことはない。父は戸籍を見ても名前がない。全くの不明だ。
まずは、相手とのつながりを取り戻そうとする意図があるか、自分に問いかける。僕の答えは「YES」だ。次に、相手や自分を責める気持ちを感じることを、自分に許す。そして、その瞬間。僕は泣き崩れていた。
言葉にできない、寒さのような、まるでそこのない井戸に落ちていくかのような感覚と、全身が震えるような怒り。あらゆる負の感情が一気に押し寄せる感覚に圧倒される。そして、無力感と、絶望。
「なんで手放すの❗️」
「僕はいらない子なの⁉️生まれてきちゃダメだったの⁉️」
「いやだよ、離れたくないよ❗️」
おとなになった今だからこそ、言える言葉だった。それすら表現できなかったもどかしさと無念さも感じていた。そこから乗り越えるために、一歩踏み出す。
「僕がこのようであるのは、本当は、僕は何を求めているのだろうか…」
そこに意識を向けていく。触れること、暖かさ、ぬくもり、愛情、愛、存在を認めてもらうこと。そして何より、この世に生を授かったこと、産まれたことを、祝ってほしいのだ。そう気付いたとき、あれほどまで感じていた負の感情が晴れて、まるで、森の中の静かな湖に立っているかのような、心地よい静寂を感じていたんだ。
そして、一歩踏み出して、自分に問う。
「その時の母に、共感をしたいと思いますか?」
答えは「YES」だ。乗り越えるために、さらに一歩、踏み出したんだ。
母とのつながりの道、母への共感
「その時の母は、どんな気持ちだったんだろう」
と、その時の母が感じていたであろう感情を、今ここで、僕が感じ取ることを自分に許した。その瞬間、胸が締め付けられて、地面に縫い付けられて動けなくなるような感覚。そして、身動きが取れなくなった。悲しさ、寂しさ、辛さ、怒り、諦め、無力感、そして、絶望…と、次々に負の感情が飛び込んできて、涙が止まらなくなった…。
こんなにも強い負の感情を感じるほどに、母は、何を求めているんだろうか。少しでも理解しようと、一歩、前に出た。
「母は、周囲からの理解を必要としていたんだろうか」
「母は、愛する人と一緒に暮らしたいことへの理解を必要としていたんだろうか」
と、ひとつひとつ、推測していった。すると、
「母は、子供を産んでも良いと思えるほどの相手に出会えたこと、子供ができたこと、無事産むことができたこと、そして、自分自身も、産まれてきて、今存在していることについて、祝福を必要としていたのかな」と、ふと思えた。
そのとき、負の感情は全くなくなり、自分の足でしっかりと立つことが出来るようになった。そして、さらに一歩、前に進む。
母とのつながり、自分へのリクエスト
「僕が欲しかったものは祝福。母の欲しかったものも祝福。そして今、僕は、このことについて、何を知るべきだろうか」
と、コネクション・プラクティスが伝える、洞察のスキルを使い、自分に問いかける。すると、ハゲヅラ被ったツルと、それを遠くから見て愉しんでいる人が見えて、「お祝いの形は人それぞれなんだなぁ」という気付きを得た。
そのとき、僕にとってお祝いとは、何かとてつもない偉業を達成したときにするものだ、という考えを持っていることにも気づき、「もっと気楽にお祝いしてもいいんだなぁ」と、肩の力が抜けたんだ。そしてさらに、一歩進む。
自分はこの先、どのように生きていこうか、と思いを馳せたとき、
「僕は僕自身と、僕の大切な人に、出来る限りの愛と祝福を送り続ける人生を歩む。母は、いつかどこかで、僕の名前を見たときに、もしかしたら私の子かしら。と思ってくれたら、僕にとってどんなに救いになるかわからない。その気持ちを僕が持っていることを認めて、僕は生きていきたい。」
と、湧き上がる思いがあり、僕は、そのように生きていくことを、自分にリクエストしたんだ。
ひと通り「つながりの道」が終わったとき、同じグループのみんなからハグされて、涙でぐしゃぐしゃになっていた。試験だというのに、重いテーマを持ち込んだ僕に応えてくれたみんなにはほんとうに感謝。そして、これまで支えてくれた家族や、よく育ててくれた育ての両親への感謝と、産んでくれた母への感謝で、体中が一杯だった。
その後、試験に集中できるようにもなり、ご飯も美味しく食べられるようになった🤣美味しい大事💖
その後の試験は、僕自身は極めて平和で暖かい時間に感じられた。一緒に試験を受けていた仲間たちにも意義深い体験があったようで、休み時間の合間にも話が尽きない。
この気持ちのまま、ずぅっと生きていきたい。このような体験が必要な人達に、僕が伝えていきたい。そんな願いとともに、試験は無事終了。結果は後日郵送となった。
試験後、リタとゆみさんと一緒に記念撮影♡
試験後、僕は、仲間と分かれて帰路についた。
このスキルと体験が必要な人達に伝えていきたい。こうして、僕のラスールとしての活動が始まったんだ。
次号につづく。
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